コミュニケーション能力を劇的に向上させる6つのトレーニング

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AIの台頭や、単純労働のアウトソーシング化によって、私たちはこれまで以上に高度なコミュニケーションを求められるようになってきました。

テレビや雑誌などのメディア、さらには企業の人材教育の場面でもコミュニケーション能力の重要性が叫ばれています。

しかし、このコミュニケーション能力というものがいったいどういうものなのか判然としないまま独り歩きしているのも事実です。

本稿ではコミュニケーション能力とはそもそもどういうものなのかを説明したうえで、能力アップのためのトレーニング手法について説明します。

心理学的なアプローチを用いたトレーニング手法を紹介していますのでぜひ実践して、今後の生活に活用していただければと思います。

コミュニケーション能力にまつわる誤解

「コミュニケーション能力」と聞いて皆さんはどんなものをイメージしますか?

大学生の人に多いのが、飲み会やイベントで盛り上げたり、お笑い芸人のように面白い話ができたりといったイメージです。

しかし、面白い話ができることがコミュニケーション能力の要なのかというとそれは違います。

面白い話ができればいいわけではない

そもそもコミュニケーションの目的とは「人間関係を円滑にすること」です。

人間関係を円滑にするためには、自分の考えていることを知ってもらうことも大事ですが、それと同様に相手の考えも知ることが必要。つまり、相互理解が必要なのです。

もちろん、ユニークな話ができることは周囲のムードを良くする効果があります。しかしこれは話し手が聞き手に対して一方的に話をするだけの状態。

これでは聞き手の考えや価値観も知るという本来の目的を達成できません。

「聞き上手」は単に聞いているだけではない

それでは相手の話をとにかく聞けばいいのかというとそれも違います。

よく巷の恋愛本などで「聞き上手」はモテるといったようなことが叫ばれていますが、単に相槌を打つのではコミュニケーションは深まりません。

ここで二組のカップルの会話を見てみましょう。

1)花子と太郎の会話

花子「ねぇねぇ、この前上司に怒られちゃったの」

太郎「そうなんだ」

花子「…それでね、すっごく頭に来たから同期の友子と飲みに行ったの」

太郎「うんうん」

花子「…そしたらね、友子もその上司のことが苦手って言ってて」

太郎「うん」

花子「…ねぇ、ちゃんと話聞いてる?あなたっていつも私の話聞いていないよね?」

なぜ、花子は太郎が話を聞いていないと感じたのでしょうか。そして、この場合太郎はどうしたらよかったのでしょう。ここでもう一つの例を見てみましょう。

2)友子と一郎の会話

友子「ねぇねぇ、この前上司に怒られちゃったの」

一郎「上司に怒られたの?なんで怒られちゃったの?」

友子「いや、私が悪いんだけどね。仕事で少しミスをしちゃって」

一郎「ミスしちゃったんだ。それは大変だったね」

友子「ホント大変だった!おかげさまで終電ギリギリまで仕事しなくちゃいけなかったのよ」

一郎「終電ギリギリまで!無事にお家に帰れたの?」

友子「ううん、結局終電逃しちゃったから同期の花子と飲みに行ったよ」

一郎「花子ちゃんと飲みに行ったんだ!ストレス解消になった?」

友子「うん!花子もあの上司にいろいろネチネチ言われてたみたいで二人で盛り上がっちゃった!」

一郎「それは良かった!結構クセのある上司なのかな?」

友子「そうなの、重箱の隅をつつくようなことばかり言う人なんだよね」

(この後一時間以上盛り上がった)

どちらのケースも「上司に怒られた」という内容から会話が始まりましたがその後の内容が大きく変わっていますね。

実は太郎は花子の話にただ相槌を打っていた一方で一郎は相槌だけでなく、この後紹介する様々なコミュニケーション上のテクニックを使用しているのです。

このテクニックについては後の項目で説明しますが、「聞き上手」というのは決して相手の話をただ聞いていればいいわけではないということが理解できるのではないでしょうか。

そもそもコミュニケーション能力とは?

ただ面白い話をすればいいわけでもなく、相手の話を聞いていればいいわけでもない。

コミュニケーション能力とは何なのでしょうか?ここでは職場と日常生活のシチュエーションに分けて求められるコミュニケーション能力について説明します。

職場で求められるコミュニケーション能力

ビジネスの世界では取引先や同僚、上司など様々な人と協力関係を築きながら一つの目標に向かって邁進していくことが求められます。

相手に業務上必要な指示を出したり、上司からの命令を受けたりといったようなコミュニケーションがメインとなります。

そのため、職場のコミュニケーションで必要なのは「自分が出した指示を相手に誤解なく伝え、相手からの指示を誤解なく受け取る」ということです。

例えば部下や同僚に「あの書類、コピーしておいて」だけでは相手はどう思うでしょうか?「あの書類ってどの書類?」「何部コピーすればいいの?」「いつまでにやればいいの?」といった具合に混乱してしまいますよね。

これでは仕事がスムーズに進みません。職場でコミュニケーションを円滑に進めるためには相手のことを配慮することや細かい確認作業が必要なのです。

日常生活で求められるコミュニケーション能力

家庭や恋愛など、日常生活で求められるコミュニケーション能力も職場と大きくは変わりません。ただ、それに付け加えて「相手を喜ばせる」ということが必要になります。

相手を喜ばせることで人間関係が円滑になり、より充実した生活を送ることができます。それでは相手を喜ばせるためにはどのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか。

それは「相手の考えを聞いてあげること」です。人間の欲求には食欲や睡眠欲などの基本的な欲求に加えて人から認められたいという承認欲求があります。

これはどのような人でも多かれ少なかれ持っているものですが、承認欲求が満たされるとおいしいご飯を食べたときのように人は幸せな気持ちになります。

意見と人格を同一視しやすい日本人の場合、相手の意見や考えを肯定してあげること承認欲求を満たしてあげることに繋がります。

実は、これがただ話しているだけではコミュニケーション能力が高いとは言えない最たる理由なんです。

つまり、日常生活でコミュニケーションを円滑に進めるためには職場以上に相手の考えや意見を聞くことが求められます。

コミュニケーション能力を構成する3要素

それでは、コミュニケーション能力を高めるためには何をすればいいのでしょう。ただ漠然とコミュニケーション能力を高めたいと思っても上手くいきません。

コミュニケーション能力を構成する要素一つ一つを把握してそれぞれにアプローチをしていく必要があります。

スポーツを例にするとわかりやすいのですが、野球の場合、上手くなるためには、バッティングや捕球、投球動作などそれぞれの能力を高めていく必要がありますよね。

単に野球が上手くなりたいとやみくもに練習しても非効率的。コミュニケーション能力についてもこれと同様に、どういった要素が必要なのか把握することが大切です。

ではコミュニケーション能力はどのような要素で構成されているのでしょう。下の図を見てください。

これはコミュニケーションを簡略化した図です。このようにコミュニケーションとは話し手と聞き手の双方が協力しなければ成り立ちません。

どちらか一方がかけていればそれはコミュニケーションとは言えず、スピーチをするだけ、オーディエンスになっているだけという事態になります。

また、それだけでなく、コミュニケーションを行う当事者の見た目も重要になってくるのです。

見た目に問題があればまず話してみよう、聞いてみようという気になりませんからね。

つまり、コミュニケーション能力は3つの要素から構成されているのです。

1.伝える力

まず「伝える力」です。自分の考えを相手に誤解なく伝えることが大切になります。

お笑い芸人のように面白い話をすることが必要なのではなく、相手の立場や年齢を配慮してわかりやすく伝えることが基本。

例えば年配の上司に対して若者の流行ファッションを話すのであれば相手が若者文化に詳しくないという前提で用いる言葉に気を付けなければいけません。

このように伝える力とは「相手に誤解なく自分の思っていることや考えを説明する能力」なのです。

2.聴く力

次に「聴く力」です。先ほど「聞く」という漢字を使いましたが「聞く」と「聴く」では大違い。

前者は騒音や話し声が自然と耳に入ってくる動作を意味しますが、「聴く」は積極的に相手の話に耳を傾けることを意味しています。

つまり、相手が話したいことに耳を傾け、共感し、相手の話したいことを深堀していくことが「聴く力」なのです。

先ほどの二組のカップルの例になりますが太郎は単に「聞いていた」だけ、一方の一郎は積極的に話を「聴いて」いましたね。

3.見た目

最後に見た目も欠かせません。心理学に「メラビアンの法則」というものがあります。

この法則によると、話し手の話した内容を相手が受け止める際に、話し手の声や見た目を判断基準として大きく取り入れているのです。

つまり、相手と円滑にコミュニケーションをとるためには会話の内容だけでなく、見た目も重要になります。ただ誤解してほしくないのが何も美男美女でなければいけないというわけではありません。

相手の目を見て会話するであったり、清潔感のある身だしなみといった常識的なことを押さえておけばいいのです。

参考:メラビアンの法則でコミュニケーション上手になる方法

コミュニケーション能力を高めるために必要な視点

このように3つの要素をそれぞれ高めていくことがコミュニケーション能力アップのカギなのですが、どれにも共通する一つの視点があります。

それは「相手の気持ちを考えること」です。

自分の話を相手がどのように感じているのか、相手は何を話したいのか、そして相手に不快感を与えないような見た目なのかといったことを念頭に置いて考えなければいけません。

確かに超能力者でもない限り相手の気持ちを100%理解することはほぼ不可能です。ただ、常に「相手はどう感じているんだろう」という問いかけを頭の中で繰り返すことだけは忘れないでください。

その視点を持つことがこれから紹介するコミュニケーション能力トレーニングの効果を何倍にもしてくれます。

コミュニケーション能力アップのためのトレーニング方法

それではコミュニケーション能力を高めるためのトレーニング方法を紹介します。

これらはAD/HD(注意欠陥・多動性症候群)やASD(自閉症スペクトラム)など発達障害児のコミュニケーション訓練でも用いられているものです。

表情筋トレーニング

まずは見た目に対するアプローチです。何かとっつきにくい、話しづらいと言われる原因には表情が硬い場合が多いです。

下の図のように同じことをしゃべっていても表情一つで印象は大きく変わります。

あなたはどちらの人と仲良くなりたいですか?青い人となら楽しく会話ができそうですが、赤い人だと、同じ内容でも何か尋問されているような気持ちになりますよね。

二人の大きな違いは「口角が上がっているかどうか」です。つまり円滑なコミュニケーションのための表情づくりでは口角を鍛える訓練をしなければいけません。

トレーニング方法を下に紹介しますので是非取り入れてください。

  1. 割りばしを横にしてくわえる
  2. 「イー!」と言いながら10秒キープ
  3. これを繰り返し3セットから5セットほど

自宅で簡単にできる方法です。試してみましょう。

プレゼンテーショントレーニング

次に伝える力の訓練方法です。これにはプレゼンテーションのトレーニングが重要です。

「自分が好きなもの」や「趣味」でもなんでもいいのでまずは自分が話しやすいテーマを決めて3分ほどのスピーチをしてみましょう。

ここで注意してほしいのは「相手にわかりやすく伝えること」です。

5W1H(どこで、だれが、いつ、なにを、なぜ、どのように)を含めた内容を話すことと相手がわかりづらい言葉を使ってないかを意識してスピーチを作りましょう。

マインドマップ

わかりやすい話し方ができるようになったら次にやってほしいのがマインドマップで自分の伝えたい内容を整理することです。

マインドマップとは下記の図のように情報を整理する手法で、人間の脳の仕組みと同じように情報を整理できるため、上手く用いれば順序立てられた説明をすることに一役買います。

プレゼンテーショントレーニングを行うことと並行してマインドマップの作製をすることで会議の場で発言を求められた時でもわかりやすく説明する瞬発力も身に付きます。

アサーショントレーニング

相手に伝える力に自信がついて来たら次はアサーショントレーニングを行いましょう。

アサーショントレーニングとは「相手の意見も尊重しつつ自分の言うべきところはきっちりと伝える訓練」です。

あまり好きではない上司からお酒の誘いを受けた時を想像してください。そこできっぱりと「行きません」と断ってしまえば上司の心象は悪くなってしまいますよね。

かといって行きたくない気持ちを我慢して付き合ってしまうのもストレスを貯めてしまうことになります。

それではどのように断ればいいのでしょうか。例えばこんな断り方はどうでしょう?

「お誘いいただいてすごいうれしいんですが、今日は少し体調が悪くて早めに帰ろうと思います。また別の日に他の人も交えて飲みに行くのはいかがでしょう。」

これなら相手の心象を害さずに済みますよね?ここでのポイントは大きく3つです。

  1. 相手の気持ちを受け止める(お誘いただいてすごいうれしい)
  2. 理由を述べたうえで意見を言う(体調が悪いので早く帰りたい)
  3. 別の提案をする(別の日を提案する)

自分の意見を言うときにこの3つのポイントを踏まえて話すことを心掛けてみましょう。

いきなり実践するのは難しいので、過去に失敗したかもしれないというやり取りを思い出しながらアサーティブに言い換えればどのようになるか書き出してみましょう。

下記にもう一つ例を挙げていますので参考にしてくださいね。

例)昨日の残業でひどく疲れていて寝たかったのに妻子にせがまれて断れず遊園地に行った

  1. 確かに休みの日くらいどこか行きたいよね
  2. でも昨日の残業で体がへとへとで今日はゆっくりしたいんだ
  3. 再来週ならある程度仕事も落ち着いているだろうからその日にしよう

傾聴トレーニング

それでは次に聴く力を高める方法です。相手の話に耳を傾け、気持ちよくしゃべってもらうには以下のことが必要です。

復唱する

相手の話を聞いているよというアピールになります。例えば相手が仕事でミスをして大変だったという話をしたとき、相槌の代わりに「ミスして大変だったんだね」と復唱するだけで構いません。

これによって相手は「この人は私の話をちゃんと聞いてくれている」と安心し、より話しやすくなります。

ただ、注意してほしいのが何でもかんでも復唱しないことです。やりすぎるとかえって相手をイライラさせてしまいます。

復唱を有効に使うタイミングは「相手がキーワードをしゃべった時」「長くしゃべった時」「楽しかった、辛かったなどの気持ちを伝えたとき」に絞るのが良いでしょう。

共感する

これは復唱と似ているのですが、相手が気持ちを伝えたときのみ使えます。最初に挙げた一郎と友子の会話を振り返ってみましょう。

友子「いや、私が悪いんだけどね。仕事で少しミスをしちゃって」

一郎「ミスしちゃったんだ。それは大変だったね」

「それは大変だったね」という言葉がまさしく共感を示す言葉です。このように相手が感情や気持ちを伝えたときに、共感を示すことでより会話が深まります。

質問する

最後に会話を弾ませるために質問を投げかけましょう。

先ほどの例で話すと「仕事でミスをした」という話を聞いたら「どんなミスをしたのか」「それでどうなったのか」などの質問を投げかけることで相手がスムーズに話しやすくなります。

ただ注意してほしいのは「なぜ?」という問いかけです。これは使い方によっては尋問のような息苦しさを生み出してしまいます。

特に相手の失敗談に対して使うときは責めているように聞こえる場合があるので慎重になりましょう。

相手の話を聞くときはこの3点を必ず意識してください。

ロールプレイング

これらのトレーニングができたら最後に実践的なトレーニングをしてみましょう。

ロールプレイングを行うときは一人ではできないので家族や同僚に協力してもらってください。

  1. ペアを組み、話し手と聞き手を決める
  2. ある特定のテーマを決める(好きな食べ物、趣味など)
  3. 話し手はそのテーマについて話し、聞き手は質問をする
  4. 一定時間が過ぎたら役割を交代する

自分を客観視することがコミュニケーション能力アップのカギ

ここまでコミュニケーション能力を向上させるためのトレーニングについて説明しましたが、これを効果的にするには自分を客観視してどの要素が足りないのか把握する必要があります。

ただ、自分を客観的に見るというのはとても難しいことです。

自分を客観視するためのヒント

心理学に「ジョハリの窓」という概念があります。

簡単に言うと、自分が自分に抱いているイメージと相手が自分に抱いているイメージにはギャップがあり、その溝を埋めることが自分を把握するための有効な手段であるということです。

つまり、自分のコミュニケーション能力を客観視するためには他人から見てもらうことが欠かせません。そのため以下のような方法で自分を客観視することができます。

近しい人からのフィードバック

親友や家族から自分のコミュニケーションの取り方について指摘してもらうというのが最も手軽です。

「しゃべりすぎるときがある」「表情が硬い」などのフィードバックを得ることができればどの要素が足りてないのかわかりますよね。

ただこの方法は精神的にある程度タフでなければショックを受けてしまうこともあるので注意してください。

カウンセリング

こちらは手間とお金がかかってしまう方法ですが、臨床心理士などの専門家に相談するというのも手です。

近しい人からのフィードバックの場合、時として自分が否定されるような感覚に陥ってしまうことがあります。

カウンセリングの場合、自分で自分の欠点に気づくようにカウンセラーが導いてくれるので精神的な負担は少ないです。

近年ではコミュニケーション上のトラブルに悩みを抱える人向けにメンタルクリニック等でカウンセリングのサービスを行っています。

近しい人に悩みを打ち明けるのが不安という方はこれらの医療機関に相談してみましょう。

「お笑い芸人」にはなれなくても「普通の人」にはなれる

高度なコミュニケーションが求められる現代社会において、コミュニケーション能力が低い人は「生きづらさ」を感じ、他人に劣等感を抱いてしまいがちです。

しかし、発達障害などの先天的な疾患がない限り適切な訓練を行うことで人並みにコミュニケーションをとることは十分可能です。

自分にどの要素が足りていないのかを把握したうえで今回紹介したトレーニングを実践していけば、すぐにとはいきませんがだんだんと円滑なコミュニケーションを行うことができるようになるので是非試してみてください。

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